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食物実技講習会

第23回食物実技講習会より

『食物実技講習のめざすもの』

1.まず人は食べものから命を貰って生きているということの認識をきちんともっていただきたい。

作家の林芙美子さんはお手伝いを雇うとき、ホウレン草を茹でさせて定められていたと伺ったことがある。
"茹でる"ということは、材料を軟らかくする許りでなく、アク、シブ、エグミを除き色も美しくあげる作業である。水から茹であげるもの(じゃがいも・里芋・甘藷・かぶ・にんじん・ごぼう・百合根など)、熱湯に入れるもの(青菜・青蕗・サヤ豆)との区別がある。茹であげてから水にとる。
笊に上げて風で冷やす──この時、無造作に笊に上げると林さんは「ホウレン草は畑にある時、ますぐに植わっていますよ、と一喝して引き取らせます。」とおっしゃっていた。日本のように水のよい国の料理は「水の料理」であると。といってもよいであろう。"ほうれん草の浸し"のようなものもサラダ料理と共に若い人に基本として教えてほしい。

2.めしの食べ方

汁ものに箸をつけた後、めしとおかずを交互に汁→飯→菜→飯→汁→飯→次の菜といった順に食べる(片づけたべはいけない)──この食事作法には重要な意味がある。つまり食べ過ぎの予防になる──これは主食という概念のルーツでもあるし、食べ方の基本となる(主食3,主菜2,副菜3の割合)。

3.食品のとり合わせ

一品では人の生理機能を十分に活動させることが出来ない。母乳に含まれる免疫は牛乳にはないし、完全栄養の卵も摂りすぎれば燐脂質のため血液の正常さを阻害する。 その他味の相乗作用により食欲の増進、消化吸収の促進ともなる。例として刺身のつまに大根・うど・みょうが・わさび・海藻・たで・生姜・にんにく・青じその葉・ しその実等は唾液や消化液の分泌を促し健胃作用をする。色彩効果も大切で、てんぷらに大根おろし・すり生姜などは油脂の乳化、分散を助けて消化・吸収を良くする。焼魚に紅葉おろし・酢取りわかめや生姜・ 豆類とくに大豆にはサポニンという血液毒の物質があり、煮豆にするとき昆布と一緒によく煮るのは海藻のアルギン酸がサポニンを吸収し、毒性を抑制する。ほうれん草の浸しに花がつおや白す干をかけたり、 卵とじにするとこれらに解毒効果のある含流アミノ酸類が多く、たん白質も多い。

以上は人間の栄養についていかに実践に移すかで考え、体験してみると栄養理論のほうから入らないで、すでに試験ずみの伝統料理から入るという方法が、現にいまフランスを初め西欧諸国ではとられている。日本とアメリカだけが理論先行で、"アタマで食べる"というやり方である。(とり分け家庭科授業で四単位が二単位に減らされた中で工夫してほしい)。またこれからは栄養摂取一般ではなく、現代の問題意識に立って、個々の食品をどう調理するか、どんな素材のとりあわせをするか、そしていかに食べるかが重要な問題になってくる。その点、最近日本でも東京都内の学校給食関係者の間でいわれていた子どもの嗜好傾向「オカアサンヤスメ」(オムレツ・カレーライス・アイスクリーム・サンドイッチ・ヤキメシ・スパゲッティ・目玉焼)と手作りが残っていたが「ハハキトク」(ハンバーグ・ハムエッグ・ギョウザ・各種トースト)へと、益々市販のファーストフード的なもの許りになり、近頃はスローフードへと動きが変わり始めた感がある。 とりわけ生涯学習につながる技術・家庭科はこれからの人づくりの為にも「食・農・教育共生運動」の実践活動として一層重要であろう。一方現在偽装食品の横行する中、加工食品の表示等について役所でも改善が試みつつあるが、消費者としては「表示をよく読み、最後は自分で味をくらべてみて選択する」事が大切であろう。 とくに五味は九才迄にしっかり子どもに覚えさせて欲しいといわれている。

4.当会の栄養三色運動

世間で最もわかり易く、お年寄りから子ども迄知名度が高いと評価されていますが、かつて元厚生相では、「バランス食の食べ方として、一日三十品目を摂りましょう。」 と普及した結果、過食・ムダ・ゴミ(残菜)をふやす結果となっている様なので、当会としては(豆類) (ゴマをはじめ種実類)(卵)(乳・乳製品)(ワカメなど海藻類) (野菜・果物)(魚介・肉類) (椎茸・キノコ類) (芋類)の九品目を一日のおかずの中につとめてとり入れるよう指導している(主食は何れの時でも)。 調味料の発酵食品は消化吸収を助けるしょうゆ・みそ・酢の他塩(一日10g)とし、植物油(必須アミノ酸を含む)を主として適宜使用すること。

5.当会の合い言葉

「歩きながら考える」「食べ方は生き方」であり、食の啓蒙運動50年を経て今日になりました。


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